人間の体内はほとんどが水分と言われるように、身体機能の維持に体液(血液・リンパ液・消化液など)は重要な役割をもっています。
高齢者の場合は身体の半分が体液で、この体液・水分が減ってしまうと「脱水症」になります。
年齢を重ねると身体機能の衰えもあり、実際には水分が失われていても気づきにくくなっていて、本人が気づかないうちに脱水に陥っている場合が少なくありません。
体調不良で汗をかく、発熱や下痢などで水分が失われたりすることもあります。
夏の暑い時期の熱中症などでの脱水だけでなく、暑くない他の季節、冬なども気付かないまま身体は水分不足になっているケース(かくれ脱水状態)が多いのです。脱水症状を起こしている老人

加齢により潤いを保持するコラーゲンや保湿細胞が減ってきて、肌や髪が乾燥しやすくなります。
顔のしわやたるみ、髪の毛のパサつき・うねり、爪の立て筋など、年齢ともに気になってくる部分です。
美容面での表に現れる状態だけでなく、実は体内の粘膜なども水分保持が難しくなっていて、口が渇きやすいとか、便秘になりやすいなども、少しずつ出現します。
若い頃のように水分を体内に保持することが困難になるので、同じような水分摂取ではどうしても不足してしまいます。
高齢者の場合は、若者よりも意識的に水分を摂取する必要があります。

加齢とともに神経感度が鈍くなってしまうので、喉が渇いていることに気づかないままに何時間も過ごしてしまう高齢者も多く存在します。
初期の認知症の場合なども、飲み物を飲んだか飲んでいないかも忘れがちになります。自分では飲んだつもりになっているという場合もあるので、周囲が注意しなければ危険です。

トイレが近くなることを嫌って、敢えて水分を減らしたりする人もいます。
寝ている間の尿意で何度も起きるのがイヤで、あるいは失禁を怖がって夜はお茶も飲まないというケースもあるでしょう。
高齢者には夜間・就寝時の脱水発症が多いというのも忘れてはいけません。

早めに気づきたい脱水症のサイン

軽度の脱水では、「口が渇く」「倦怠感」「脱力感」「無力感」「食欲不振」などの症状が見られます。
看護中の高齢者に皮膚が乾燥して弾力が無くなり、唇がカサカサしている、口腔内の乾燥があれば脱水を疑ってください。
手の甲の皮膚をつまんでもすぐに戻らない、爪を強く押しても色がすぐに戻らないなども、乾燥のサインです。
トイレに行く頻度が減っていることもあります。
ボーッとしていたり、なんとなくウトウトしているような傾眠状態、めまいやふらつき、手足が冷たいなども、脱水により血流悪化している場合があるので、要注意です。

脱水が進行していくと、「頭痛」や「吐き気」がでてきます。
体内の水分不足での体重減少や体調の異常、嘔吐・下痢などのケースもあります。
反応が無くなり会話ができない、意識朦朧としたり、身体に麻痺が出現するような重篤な状態に至ることもあります。
介護や看護をしている高齢者の場合は、周囲が早めに気づいて対処しなければなりません。

脱水症状に気づいたら、まずは水分補給です。できるだけ口から水分を飲むこと、ゴクゴクではなく少しずつ継続的に飲ませることです。
ただの水よりも体内吸収が良く、ミネラル分や電解質を補える経口補水液の摂取がよいでしょう。
冷やしておくより常温の方が体内吸収が早いので、介護や看護中は常温での常備をおすすめします。
体調異常などで下痢や嘔吐がある場合は、飲ませても排出されていますのでその分更に摂取させなければなりません。
重篤になったり、口から飲めないような状態のときは、点滴で水分補給する必要があります。

高齢者の場合は些細な変化が命取りになることも少なくありませんので、看護者はいつものことと看過せず、積極的に水分摂取させるよう心がけましょう。